【読書】「解散ノート」モモコグミカンパニー

元BiSHメンバーのモモコグミカンパニーによる、BiSH解散までの日々を綴った本。

ジャンルとしてはエッセイになるのかな?

内側にいた人にしか書けない舞台裏の日々。

 

■解散ノート

■著者 モモコグミカンパニー

■2024年2月発行

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2023年6月の解散から約8ヶ月。2024年2月に「解散ノート」が発行されて割とすぐに読んだ。

事務所社長から解散を提案されたときの様子や、メンバーとの話し合い、コロナ禍での仕事、解散までの怒涛の日々が生々しく記録されている。

 

最初から最後までほぼ全編を通して、表には見せていなかったモモコさんの悩みや不安が吐露されている。特に歌唱に対する葛藤、上手く歌いたい、自分らしく歌いたいという思いが切実に繰り返されている。

歌もダンスも苦手、というのはBiSH時代からインタビューなどでも語られていたが、ここまで真剣に深刻に苦しんでいたとは思わなかった。

唯一無二の歌声を持つ、今や令和の代表アーティストに名を連ねつつあるアイナ・ジ・エンドが隣にいたことも影響したのだろうか。

「解散ノート」には、BiSH時代からソロ活動を開始した他のメンバーに対する羨望と焦りも包み隠さず書かれていた。

 

特にモモコ推しというわけではなかったけれど、思い返すにBiSHの中で一番アイドルらしい歌声をしていたのはモモコさんではなかったか。モモコさんに似合う曲、例えば「HiDE the BLUE」のような可愛い曲調でその良さが出ていたように思う。

また、歌割りの少なさを嘆くような述懐もあったけれど、歌割りが少ないということはライブではその分多く動き回らないといけないということだ。

モモコさんは衣装で短パンを穿くこともあった。可愛らしい顔に反して、晒されたふくらはぎはとても筋肉質だった。人知れぬ努力の跡を感じた。

 

解散を発表してからの日々は、清掃員の間でも「殺人的スケジュール」と言われていたが、実際に相当大変だったようだ。

BiSHでいることの苦しさ、BiSHが終わることの苦しさ。解放でもあり、放逐でもある。

相反する感情のせめぎ合いの中で葛藤しているあいだも、残された時間は待ってくれない。

そんな日々の記録だった。

 

興味深いのは、正真正銘の「中の人」であり、当事者であり、BiSHそのものであるはずなのに、どこかBiSHになりきれてないように思える猫写だ。

8年間BiSHをやってきてなお「何者でもない私」「BiSHにしがみついている」「BiSHと共に歩んできた私」「励まし続けてくれていたのはBiSH自体だった」と振り返っている。

ファンからすると「あなたがBiSHでしょ?」と思うけれど、BiSHと完全に一体ではない感性があったから解散までを記録に残せたのかもしれない。

自分はBiSHを構成する一部に過ぎない。BiSHがあって自分がいる、という感覚。

BiSHとして歩んできた自分と、BiSHと共に歩んできた自分。似ているようで違うのだろう。

 

よくライブのMCでメンバーが言っていたこと。

BiSHはメンバーだけじゃない。バンドメンバー、スタッフ、サポートチーム、清掃員をすべて合わせてBiSHなんだと。リップサービス的に聞こえなくもないが、この言葉は嘘ではなかったということなのだろう。

 

BiSHが駆け抜けた日々をことさら美化したり誇張したりせず、見たまま感じたままを記録したノート。

苦しみながら、それでも最後の「今までずっとステージに支えられていた」という一文にファンとしてはホッとする。

清掃員もまたBiSHの一部としてステージを構成していた要素だったのだとしたら。